(1)事業の概要

本事業では,新学習指導要領の完全実施を前に,今一度,全国のダンス授業の実施状況を詳細に調査し,指導の成果や課題等を把握すると共に,様々な状況に応じた課題の解決に向けた方策を示すことを目的とした.また,新学習指導要領では,指導及び評価の観点として「知識及び技能」と示されたことから,ダンスの「知識」と「技能」を関連付けた指導実践や指導法の工夫について調査・検討し,目指すべき授業の在り方について検討した.
まず,中学校で実施されているダンス授業について,全国の中学校教諭を対象にアンケート調査及びインタビュー調査を行い,指導成果と課題,指導体制,内容・方法等の工夫改善方策を検討した.その結果,ダンス授業の充実には,教員養成系大学においてダンス授業をしっかりと履修させ,実践的指導力の高い教員を養成すること,また,教員対象の研修会を充実させることが重要である可能性が示唆された.また,現在,中学校において最も実施されている「現代的なリズムのダンス」についての学習指導要領の例示の充実と具体的な指導方法・教材の開発・提示,ダンスの「知識」と「技能」を繋ぐ指導方法・教材の開発・提示が必要であることが判明した.
また,中学校において実施率の高い「現代的なリズムのダンス」と「創作ダンス」の「知識」と「技能」を関連づけた授業展開を行うための教材を開発し,実際の中学校の授業で使用した.その結果,開発教材について,生徒は「ダンスの動きを高める上で役立った」と感じ,ダンスの「知識」の習得にも有効である可能性が示唆された.
なお,調査結果については,Web上に公開し,全国の現職教員が情報を気軽に入手できるよう工夫した.

(2)実施体制

1)ワーキンググループ:体育科教育,コーチング学,舞踊教育学を専門とする研究者から組織した
代表者:栫 ちか子 (鹿屋体育大学 講師)
共同研究者:金高 宏文 (鹿屋体育大学 教授),浜田 幸史 (鹿屋体育大学 准教授)
佐藤 豊 (桐蔭横浜大学 教授),高橋 修一 (日本女子体育大学 教授)
石川 泰成 (埼玉大学 准教授),檜皮 貴子 (新潟大学 講師)
山﨑 朱音 (静岡大学 講師),河合 史菜 (長崎大学 助教)

2)有識者(アドバイザー):代表者・共同研究者から選出されたメンバーに加え,実施協力校の外部指導者や
ダンスの指導に長けた教員等で構成した
小松 恵理子(鹿児島女子短期大学 名誉教授),
萩原 香織 (鹿児島大学・鹿屋体育大学 非常勤講師)
3)調査協力組織
① アンケート・インタビュー調査協力
・体育・保健体育ネットワーク研究会
(北海道・東北,北信越,関東・東海・関西,中国・四国,九州)
・県・市教育委員会等(北海道教育庁,宮崎県教育庁,高槻市教育委員会)
② ダンス授業実施協力校(九州圏内中学校2校)
③ 集計・分析等協力(鹿屋体育大学学部生2名)

スポーツ庁委託事業